津波被害で起動しないSONY VAIO PCV-JX10BP
今年元日の能登地震で被害を受けたパソコンの修理です。
珠洲市からお持ち込み頂きました。
早いもので地震発生からもう半年になります。
SONYのVAIO PCV-JX10BP WindowsXPの省スペースPCです。
地震でご自宅が倒壊しその後、津波により被害を受けられたそうです。
当時ご家族は全員ご自宅に居られたそうですが奇跡的に全員ご無事だったとの事です。
地震から約2か月ほど経ってパソコンなどの家財をようやく回収出来たそうです。
地震発生時の生々しい状況を教えて頂きました。
話に聞くのと実際に目にするのでは全く違うと思いますが大変な状況だった事は容易に想像がつきます。
津波被害を受けたパソコンからデータ復旧のご依頼はいくつか頂きましたが幸い全て無事復旧させて頂いております。
ディスク自体には問題はなく全て基板の問題なので復旧可能でした。
今回様々な被害をもたらした震災ですが大切なデータまで失わせるつもりはさらさらありませんので全力で復旧させて頂きます。
ただ今回はデータも必要ですがパソコン自体も何とか直して欲しいとの事。
理由をお聞きするとなるほどと納得致しました。
パソコンを直したい理由としては保存されている音楽データ。
当時のVAIOはSonicStageという専用のプレイヤーで音楽を取り込めました。
しかしこのSonicStageが曲者で音楽データを取り込む際専用の音楽ファイルで保存される為、通常のメディアプレイヤーやiTunesなどでは再生出来ません。
簡単には他社へは乗り換えさせないぞと言うSONYの強い意志が感じられる仕様です。
XPのパソコンを修理していた頃頭を悩ませていた事を思い出します。
SonicStage自体サポート終了している為、入手は出来ません。
後継としてX-アプリというプレイヤーもありましたがこちらも既にサポート終了し入手不可。
音楽データを復旧出来ても他のパソコン等で再生する事が出来ません。
厳密には再生する方法は無くはないのですがライブラリなどの使用勝手が違いますのでお客様としては何とか直して欲しいとの事です。
お約束は出来ませんが時間がかかることを了承頂きお預かりしました。
まずは外観をチェック。
所々に砂が残っていますし塩水をかぶって数か月放置されていたことで錆も発生しています。
まずは分解して何よりも大切なデータ復旧から。
中にはマザーボード上にしっかり砂が張り付いています。
取り出したハードディスク。
シーゲート製のIDE接続のハードディスクです。
ディスクの内部は液体はもちろんホコリも入らないような構造なのでデータが書き込まれているディスク自体は問題ないです。
問題は基板です。
塩や砂も残っています。
基板を取り外してIPAで洗浄。
幸いそれほどひどい状態ではありませんでした。
洗浄し他のハードディスクへクローンを作ろうとしますがマスターディスク不良で作製できません。
しかし何度か試していると無事クローンディスクが作成出来ました。
やはりディスク自体は問題無さそうです。
次に電源ユニット。
特殊電源なので通常のATX電源では対応しません。
分解して確認。
こちらも砂が残っています。
基板を取り出して流水とIPAで洗浄。
十分に乾かして通電チェック。
12V、5V、3.3V無事出ています。
問題無いかしばらく通電テスト行い不審な発熱も無いかチェックします。
次に問題のマザーボード。
流水洗浄とIPAでの洗浄できれいにはなりましたがやはり所々錆が発生しています。
さらにピン足の間にIPAでは取れない不純物が挟まっておりショートしています。
ICをヒートガンで外してピン足の間の不純物を取り除いていきます。
そして錆の酷い箇所は再ハンダし電源を入れると通電しFANも回転しますがBIOSが起動しません。
仮に起動してもこの状態であれば信用出来ません。
基本的に当店では中古部品は使用しませんがさすがに今回はマザーボードを交換する事にしました。
しかしパソコン自体が古い為、XPに対応するマザーボードが中々見つかりません。
ジャンクショップを回って探してみるとチップセットは違いますが奇跡的に同じシリーズのジャンクVAIOが見つかりました。
ジャンク理由は通電不可。
電源ユニットの不良であれば電源ユニットは再生済みなので流用出来ます。
マザーボード不良であればマザーボード自体修理できる可能性があります。
少なくともお客様のマザーボードを直すより可能性はあります。
持ち帰り調べてみると通電不良の原因は電源ユニットでした。
再生済みの電源ユニットに交換して起動。
無事BIOS画面も表示しました。
次にクローン作製したハードディスクを取り付けますがIDEのハードディスクはもう入手困難です。
その為今回はIDE-SATA変換コネクタでSATAハードディスクを取り付けます。
電源を入れるとブルースクリーン0x0000007Bで起動しません。
Windows10では問題ないのですがWindowsXPではマザーボードのチップセットが変わるとWindowsは起動しません。
ドライバの問題なのでドライバを修復し起動。
無事懐かしいWindowsXPの画面が起動しました。
XPのライセンス変更が必要と思いましたが同じVAIOの為なのかプロダクトキーを変更しなくてもライセンスが通りました。
変更しようとしてもライセンス認証の項目すらありません。
VAIO製XPの仕様のようです。
次にドライバの問題。
デバイスマネージャで確認すると
グラフィックドライバと肝心のサウンドドライバが当たっていません。
インストールが必要ですが当然SONYからの提供は終了し入手は出来ません。
デバイスのIDからドライバを特定。
サウンドドライバはRealtek AC97。
グラフィックドライバはSiSAGPチップセットドライバ。
ネットで古いドライバを提供しているサイトもありますのでそこから入手。
グラフィックドライバは問題なくインストール出来ました。
しかしサウンドドライバが何度インストールしてもエラーになります。
複数のドライバを試しましたが同じなのでマザーボードのサウンドチップの不良と判断。
まあジャンクなので文句も言えません。
そこでマザーボードのサウンド機能は使わずUSBで接続出来るサウンドカードを入手して使う事にしました。
プラグアンドプレイで勝手にドライバをインストールしてくれます。
ドライバいらずです。
そしてスピーカーを接続し、いよいよ本命ののSonicStageを起動。
ライブラリに登録されている音楽データを再生。
無事音楽データも再生するようになりました。
あとはインストールされているOfficeのライセンスをマイクロソフトへ電話で認証。
Officeのライセンスも無事通りました。
そして数日動作確認しお客様へご連絡させて頂きました。
半ば諦めておられたので大変喜んで頂けました。
地震で被害にあったパソコンのデータ復旧や修理に関しましては特別価格で対応しております。
通常の修理作業の合間に行いますのでお時間はかかりますが無理と思われる状態でも構いません。
データも復旧出来る可能性は十分ありますのでご相談下さい。
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